50歳の新人、先生になる 第7回「難しい生徒との接し方」





これは50歳にして、これまで未経験の塾講師を志したアラフィフ中年の体験談です。

講師として子ども達と関わる中で、気付いたことや所感を述べていこうと思います。

当記事が塾講師として奮闘している方や子を持つ親御さん、新しい挑戦に興味がある方の一助になれば幸いです。

指導が難解な生徒

当塾は生徒の学力は様々ですが、性格の良い子が多いように思います。
とはいえ、中には手を焼く子がいるのも事実です。

その子は、特に難しい子でした。
とにかく自分の言うことが正しいと思い込み、我が強く譲りません。
おまけに自分のことは棚に上げ、講師の一挙手一投足に難癖をつけては悦に入るのです。

当初は私の担当ではなかったので、「大変だなぁ…」ぐらいにしか思っていませんでした。
だが、いつの間にかシャア専用ザクならぬ、その子専用のパイロットを拝命してしまいました(涙)。
今でも振り回されっ放しですが、やれば出来る子ということもあり成績は悪くありません。
ですが、間違いを指摘すると倍返しで反論してきます。
とにかく、自尊心が高く負けず嫌いなのが厄介でした。

見えてきた接し方

先で述べたように、この子には正論だけを振りかざしても埒が明きません。
問題行動ばかりが目立っていましたが、その子の立場になって考みると少しだけ気持ちが分かってきたのです。

たとえば、「ナレーションの意味を書きなさい」という問題があったとします。
その子は「原稿」と回答しました。
小学生で原稿という言葉を知っているのは大したものですが、少しだけズレています。
なので、模範解答に沿って説明しましたが、自分の正当性ばかり主張して聞く耳を全く持ちません。

話を聞いていて気付いたのは、どうやら”意味を書く”ことと“別の言葉で言い換えること”を混同しているようでした。
その子の真意としては、ナレーションは原稿を読みながら行うのだから、これで正解だと信じ込んでいたのです。

なるほど、方向性としては間違えていません。
むしろ、ナレーションという言葉の定義は言語化できてなくても、十分にイメージはできています。
なので、個人的には小学生としては及第点だと思いますが、講師の立場上〇はあげられません。

では、どうしたら良いでしょう。
完全な間違いは正す必要がありますが、今回はそこまでの誤答ではありません。
なので、方向性や抱いているイメージは合っている旨を丁寧に説明し、△をあげることにしました。

そして、表情がいくらか和らいだことを確認し、再び模範解答を見せながら「言葉の意味」と「言い換え」の違いを説明しました。
今度は納得したようで、頷きながら聞いています。

その子はとにかく自信のある答えに対して、不正解の烙印を押されることに過剰に反応します。
これは大人同士でも、よくあることでしょう。

ついつい忘れがちですが、当然子どもにも自我があります。
何故その答えにたどり着いたかに耳を傾け、生徒のプライドを傷つけないコミュニケーション。
それが問題解決の糸口になることを改めて学んだのでした。

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