50歳の新人、先生になる 第12回「数学が苦手な子ども達」文字式





これは50歳にして、これまで未経験の塾講師を志したアラフィフの体験談です。

講師として子ども達と関わる中で、気付いたことや所感を述べていこうと思います。

当記事が塾講師として奮闘している方や、子を持つ親御さん等の一助になれば幸いです。

文字式の登場

算数から数学に変わって、幅を利かせる最たるものといえば文字(アルファベット)でしょう。
小学生の算数では数字がほぼ全ての世界だったのに対し、中学に入るとxやyなどが所狭しと顔を出し、一瞬英語の時間かと錯覚しかねません(さすがにそれはないか)。

この変化は、何を意味するのでしょうか。
思うに、数字という具体的でイメージしやすいものから文字という抽象的な概念への転換を意味します。
人は具体的な事象をイメージすることはできても、抽象的なことはイメージしにくいのです。

なので、私は数式に文字が出てきたとき、理解が追い付かない生徒には敢えて数字を当て嵌めて説明します。
すると、完璧とはいえなくとも、少しだけ理解が進むようです。

想像の斜め上

以前、数学が壊滅的に苦手な生徒を受け持ったことがありました。
文字を含むかけ算はたとえば3×aの場合、3aというように×の記号は省略します。
すでに以前やった復習問題だったのですが、まずそこが理解できていないため説明すると、分かったようでした。

ところが、そのことが私の想像の斜め上をいく事態へと発展します。
なんと!1+3=3と答えるようになったのです(涙)

私は最初、全く意味が分かりませんでした。
さすがに、それまでは一桁の足し算はできていたのに…。
理由を聞いても、ゴニョゴニョと口籠るばかりで要領を得ません。
皆さんはその生徒の思考回路が分かるでしょうか!?

途方に暮れかかったとき、ある仮説が閃きました。
それは1+3を1×(+3)と計算しているのでは?ということです。
尋ねてみると、やはりそうでした。
その子は3×a=3aという説明を聞いたので、1+3=1×(+3)と思ったのです。

「文字を含むかけ算は×を省略する」と説明したのですが、数字同士のかけ算でも同じだと勘違いしたようでした。

私は教訓を得ました。
本当に勉強が苦手な子は、より丁寧に解説しないと理解が追いつかないのだと。
つまり、この場合はこう言わねばならなかったのです。

「文字を含む掛け算は×を省略する。ただし、数字だけの掛け算は×の記号を省略してはいけない」

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