世界水泳福岡2023 名勝負①「驚異の世界新記録ラッシュ」





22年ぶりの日本開催となる「世界水泳福岡2023」。

7月14日から開幕した本大会は23日から競泳競技が始まり、初日から驚異の世界新記録ラッシュとなった。

猛暑に負けない熱き戦いを紹介する。

日本選手

6年ぶりに世界水泳に登場する池江璃花子は、女子バタフライ100mでは予選落ちとなったものの、女子4×100mフリーリレーでは決勝進出を果たし第一泳者としてチームを牽引した。

また、東京五輪2冠に輝いた大橋悠衣は女子200m個人メドレーで、全体5位のタイムにて決勝進出を決める。

そして、男子400m個人メドレーに出場した瀬戸大也は際どい勝負を制し、今大会の競泳日本人選手メダル第1号となる銅メダルを獲得した。

驚異の世界新記録

競泳種目最初の決勝、男子400m自由形でいきなり好レースが繰り広げられる。
途中まで世界記録を2秒近く上回る積極果敢なレース展開に加え、19歳の新鋭ショートが100分2秒差の大接戦を制す手に汗握る名勝負となった。
素晴らしい大会になる予感が走ったが、想像の上をいく競泳初日となる。

1. 女子400m自由形

競泳全種目の中で最も役者が揃うのが、女子400m自由形といえるだろう。
今大会のヒロイン候補サマー・マッキントッシュ(カナダ)は、昨年の世界水泳において15歳で女子200mバタフライと女子400m個人メドレーの2冠に輝いた。
しかも、今年3月の世界水泳カナダ代表選考会では、女子400m自由形で世界記録を樹立する。

対するは本種目の元世界記録保持者のふたりである。
まずはディフェンディングチャンピオンで、世界水泳19個の金メダルを誇るケイテイ・レデッキー(米)である。
10年以上にわたり世界の頂に立ち続ける「女子水泳界の生ける伝説」にも目が離せない。

そのレデッキーを東京五輪で破ったのが、アリアン・ティットマス(豪)だ。
彼女はラスト50mに無類の強さを発揮する。
この3人が真ん中の3・4・5レーンに並んで泳ぐのだから、初日から何と贅沢なのだろう。

全世界が注目する中、レースが始まった。
序盤は5レーンのティットマスが先頭に立ち、3レーンのマッキントッシュが僅差で追いかける中、4レーンのレデッキーは少し差を付けられる。
レースの中間200mの折り返しではティットマスが首位で通過し、世界記録から1秒以上遅れていた。

中盤から後半にかけて、徐々にティットマスがリードを広げた。
マッキントッシュは伸びず、逆にレデッキーが彼女を捉えにかかる。
だが、ティットマスとの差は縮まらない。
それもそのはず、残り50のターンでは世界記録まで0秒41差に迫っていた。
ゴールが近づくごとに加速するティットマス。
ゴール板にタッチすると、従来の世界記録3分56秒08を0秒7も更新した。
終わってみれば、2位レデッキーに3秒以上もの大差をつける圧勝である。

福岡の地で前人未踏の3分55秒台を叩き出したティットマスは、再びワールドレコードホルダーに返り咲いた。

2. 男子400m個人メドレー

本種目の注目の的はレオン・マルシャン(仏)である。
“水の怪物”マイケル・フェルプスが、高速水着時代の2008年に打ち立てた世界記録4分3秒84。
その難攻不落のレコードを視界に捉えているのが、21歳のフランスの若者だ。
なにしろ、昨年の世界水泳で4分4秒28の世界歴代2位となるタイムを記録したのである。

最初のバタフライから積極的に飛ばすマルシャン。
隣のフォスターとほとんど横並びながら首位を奪い、いきなり世界記録を上回ってきた。
続く背泳ぎでもトップで折り返すものの、0秒15ほど世界記録から遅れる。
しかし、第3泳法の平泳ぎで驚異のラップを刻み、なんとフェルプスの記録に対し2秒77ものマージンを稼いでしまう。
完全にフォスターを突き放し、独走態勢を築いた。
最終クロールを泳ぐマルシャンの残り50mのタイムは、まだ世界記録より1秒88も速い。
解説の萩野公介の絶叫が鳴り響く中、レオン・マルシャンがゴールした瞬間、速報タイムの横に“WR”の表示が躍った。
4分02秒50、従来の世界記録を1秒34も更新する驚異的なタイムをマークした。

会場に居たマイケル・フェルプスも、思わず拍手を送り讃えてる。
それはそうだろう。
自らの記録を1秒以上も上回るだけでなく、マルシャン自身のベストタイムより1秒78も速いのだ。
この重圧がかかる大舞台で達成した偉業に、称賛を送らずしていつ送るというのか。

疑いようもなく、レオン・マルシャンは歴史を動かした。


世界水泳福岡2023 ガイドブック

まとめ

女子4×100mフリーリレーでも、オーストラリアが自身の世界記録を1秒7以上更新する圧倒的な強さを見せつけた。

初日から3種目で世界新記録が飛び出した世界水泳福岡大会。

明日以降も、素晴らしいレースが見られるに違いない。

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