大会3日目は、日本のオリンピック史に残る1日となった。
柔道では阿部一二三、阿部詩の兄妹が同日優勝の快挙を達成する。
そして、水泳では女子400m個人メドレーにおいて、大橋悠依がアメリカ勢を抑えて金メダルの栄冠に輝いた。
本種目では日本人初の金メダル獲得となった。
大橋悠依の歩み
大橋悠依は幼い頃からアレルギー体質に加え、病気がちだった。
大学に進学した後も、怪我や貧血に悩まされ苦しい日々を送る。
それを克服すべく食事療法に取り組み、体質改善を図った。
こうした努力が実り記録を伸ばすも、惜しくも前回のリオ五輪の出場を逃してしまう。
だが、その悔しさをバネに翌年400m個人メドレーで日本新記録を出すと、同年の世界選手権200m個人メドレーで銀メダルを獲得し、一躍世界のトップ入りを果たす。
400m個人メドレーでも2019年の世界選手権で銅メダルをとり、この大会に照準を合わせてきた。
女子400m個人メドレー決勝
決勝のレース当日、大橋は3レーンからのスタートなる。
最初の泳法はバラフライであるが、大橋はこれをポイントにあげていた。
序盤から先頭争いに加わり、0.49差の3位で100mをターンする。
続く背泳ぎで一時はトップを奪うも、後半で2レーンのフリッキンガーに逆転される。
しかし、トップと0.45秒差につけており、十分射程圏内である。
そして、大橋は3種目の平泳ぎのターンで一気に抜け出し、先頭に躍り出る。
追ってくる外国勢がラストの自由形(クロール)が強いだけに、なるべくリードを広げたい。
後半に入ると、さらにグングンと差を広げ、体1つ以上のリードとなる。
300mのターンでは、2位ウェイアントに約2秒の差をつけている。
いよいよ、勝負の自由形だ。
理想的な展開だが、ウェイアントは自由形が強いので楽観はできない。
350mのターンで、さらに差を広げる大橋渾身の泳ぎ。
世界の強豪相手に、日本人がここまで戦えるとは…。
残り15mを切り、ついにウェイアントが追い上げを開始する。
あれだけあった差が、一気に縮まってきた。
だが、最後の力を振り絞り、大橋悠依は逃げ切った。
アメリカ勢を従えての堂々たるフィニッシュだ。
おめでとう!大橋悠依!
実は、大橋悠依は北島康介を金メダルに導いた平井伯昌に師事することによって、大きく飛躍した。
それにしても、平井のコーチとしての手腕は驚異的である。
いったい何人のオリンピックメダリストを育成したのだろうか。
日本水泳界には欠かせない名伯楽である。
最後に
少々残念なのが、素晴らしい力泳にもかかわらず、阿部兄妹と同じ日の金メダルということもあり、若干影が薄くなってしまったことである。
これまでの実績からも分かるように、女子400m個人メドレーでの金メダル獲得は日本人では不可能だといわれてきた。
それほどの快挙なのである。
どうか皆さん。
大橋悠依の偉業を、日本国民をあげて称賛してください。