本稿は50歳にして、これまで未経験の塾講師を志したアラフィフの体験談です。
講師として子ども達と関わる中で、気付いたことや所感を述べていこうと思います。
今回は「生徒への感謝」Part3として、エピソードを紹介します。
尊敬に値する生徒
彼は、私が受け持った中で最も成績優秀で、人間的にも尊敬できる受験生でした。
部活に勉強にと何事にも積極的に取り組む姿はまさに文武両道を地でいくようであり、こちらまで前向きにさせられます。
加えて、常に柔和な表情を崩さず話し方も温厚で、老若男女に好感を持たれる好青年(実際は少年なのですが)といった趣です。
以前、英語の授業でとにかく細かいことを質問する生徒を担当し、辟易とさせられたことがあります。
ネィティブでもなければ分からないような質問は、他の講師陣でもなかなか対応できないレベルでした。
先に述べた彼もレベルの高い質問をしてくるため、辞書で調べたり、他の講師陣に確認したりすることも多々ありました。
ですが、不思議と全く嫌な気持ちになりません。
むしろ研鑽の機会を与えてもらい、勉強になると感じました。
それは質問が的確なことに加え、悠揚迫らぬ物腰にも起因するのでしょう。
こうみると、似て非なるものとはよく言ったものだと痛感します。
感謝
当塾は補習塾といった側面が強いため、そこまで優秀な生徒は見かけません。
そんな中、県下トップクラスの高校を目指す生徒を担当でき、本当に幸運に思います。
しかも、人間的にも素晴らしいとくれば、文句のつけようがありません。
私の実力的に、偏差値50前後〜60前半ぐらいの生徒を受け持つのが適正に思います。
なので、厳密にいえば私の手には余る部分もあるでしょう。
ですが、その子はそんなことを微塵にも出しません。
お互い胸襟開いて話せる相性の良さもあり、お世辞もあるでしょうが「楽しく勉強させてもらってる」とさえ言ってくれました。
授業が終わった後も残って自習する姿を見ていると、講師の私も向上心が湧いてきます。
彼が志望する高校はレベルが高く、過去問に対応するのはなかなか骨が折れました。
しかし、ひたむきに取り組む姿勢に感化され、自分も成長するチャンスに思えてくるのです。
きっと、こういう関係をウィンウィンと言うのでしょう。
見倣うべき、尊敬すべき対象に年齢や立場は関係ありません。
幾つになっても、良いものは良いと素直に思える謙虚さは忘れずにいたいものです。