50歳の新人、先生になる 第18回「失敗談」





これは50歳にして、これまで未経験の塾講師を志したアラフィフの体験談です。

講師として子ども達と関わる中で、気付いたことや所感を述べていこうと思います。

当記事が塾講師として奮闘している方や、学習塾に興味のある方の一助になれば幸いです。

穴があったら入りたい

正直に言うと私は年齢の割に精神年齢が低く、かなりアホな部類に入ると思います。
子ども達と交わすくだらない雑談にも全く違和感はなく、むしろ楽しいことがほとんどです。
そんなこともあり、ときには自分でも赤面もののドジを踏んでしまいます。

その子は小学6年生の女生徒で最初は人見知りをしていましたが、今ではすっかり打ち解けています。
その事件は、まだフレンドリーとはいえない関係性のときに起こりました。

彼女は教室に入ってくるなり、満面の笑顔を向け私に手を振ったのです。
私は一瞬狼狽しましたが、せっかく向けてくれた好意です。
くたびれた中年の顔面にとびっきりの笑顔を浮かべ、負けじと手を振り返します。

その瞬間、その子の顔が引きつり始めました。
自分から手を振っておいて、いきなりの塩対応に意味が分かりません。
ですが、彼女の視線の先を追い、ふと後ろを振り返ると同級生らしき女の子が立っていました。
微妙な顔を浮かべて…。

私はようやく気が付きました。
彼女は友達に手を振っていたのだと…。
よくよく考えれば、年頃の少女が微妙な距離感の中年講師に笑顔をふりまくはずがありません。
私は訝しながらも、実は彼女は心を開いていたのだと、ご都合主義を発動させていたわけです(トホホ)。

これは恥ずかしい…あまりにも恥ずかしい。
「穴があったら入りたい」。
この言葉の意味するところを初めて知ったかもしれません。

ですが不思議なもので、そのことをきっかけに少し距離感が縮まりました。
親よりも年上の講師に気後れしていた様子の彼女でしたが、私がアホだと気づいて以降はのびのびと本来の姿を見せるようになったのです。
こんなに気さくな態度で話す子だったとは…。
私は驚きを隠せませんでした。

まあ、何はともあれ怪我の功名というやつですね。

おしまい。

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