50歳の新人、先生になる 第28回「名言・名作の類似性」②





本稿は、50歳にしてこれまで未経験の塾講師を志したアラフィフの雑感です。

いつもは講師として子ども達と関わる中で感じたことを書いていますが、前回に引き続き名言や生き方について所感を述べていこうと思います。

赤木しげると岡田斗司夫

麻雀漫画に登場する赤木しげると“オタキング”こと岡田斗司夫。
一見すると、体型も生き方も真逆に思えるふたりですが、根底に流れる思想には共通するものが存在します。
それは「身軽であることの重要さ、得たものを溜め込むのではなく、いかに捨てられるかが鍵となる」ということです。

知らない方もいるでしょうから、赤木しげるについて簡単に紹介します。
赤木しげるは麻雀漫画『アカギ』及び『天』において、天賦の才と異端のメンタリティを携えた神域の男として描かれます。
13歳の嵐の夜、闇から現れた赤木しげるの死を恐れぬ闘牌とあらゆる欲を突き放した生き様に、多くの読者が憧憬の念を抱いたものです。

ふたりに共通するもの

あるとき、赤木しげるは言いました。

「成功することはもちろん必要だ。ただ、俺は『成功』を少し積んだらすぐ崩すことにしてきた…意図的に平らに戻すようにしてきた。実は『成功』はなかなか曲者でよ。一筋縄じゃいかない代物…!最初の1つ2つは、まぁいいんだが…10や20となるともう余計。体についた贅肉のようなもの…積み過ぎると十全に動けない」

赤木しげるは続けます。

「『成功』も最初は必要で意味あるものだろう。勝つことによって人の命は輝き光を放つ。そういう『生』の輝きと成功は最初つながっていた…!なのにどういうわけか積み上げていくと、ある段階でスッとその性質が変わる。成功は生の輝きでなく枷になる。いつの間にか成功そのものが人間を支配し乗っ取りにくるんだ…!『成功』が成功し続ける人生を要求してくる!
だから、あえてここは失敗する…あるいは、ゆっくりする。そんな選択だって人にはあるはずなのに、積み上げた『成功』がそれを許さない。『成功』ってヤツは人を自由にしないんだ。ハダカを許さない…装うことを要求してくる!
だが世間的な成功、いわゆる金や地位、名声、権力、称賛なんてものは人生そのものじゃない…そういうものは全部飾り!人生の飾りに過ぎない…!ただやること!その熱…行為そのものが生きるってこと…!実ってヤツだ…!」

岡田斗司夫も若い頃からある時期までは、当然『成功』を目指していたことでしょう。
ですが、齢を重ねていくうち彼が目指すものが、いわゆる『成功』ではなく“自分が心から好きなもの”“ワクワクするもの”をYouTubeなどを通して発信することになっていきました。
そして、損得ではなく本当に好きなことだからこそ、ここまで継続できたと語っています。

私も世代なので『機動戦士ガンダム』や『ジブリ作品』の解説動画を覗いてみると、なるほど本当に好きなことをしている者特有の熱意が伝わってきます。
その辺が死の際まで金や権力にしがみつく、老害といわれる人たちと一線を画しているところでしょう。

赤木しげると岡田斗司夫を見て思うのは、“人は自由に生きてこそ命を輝かせる”のだということです。
そして、自由に不可欠なものが“『成功』という棺”に囚われないことではないでしょうか。

もっとも私は世間で言う『成功』を収めたことがない、ただの凡夫ゆえ全く無縁の話ですが(苦笑)。

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